第二種電気工事士を取れば安心してAIに職を奪っていただける

皆さんはAIに職を奪われているだろうか? 私はよくAIに職を奪われている。


もちろんこういうことをいうと、おぞましい領域からおぞましいものたちが現れる。救いようのないザコオスどもだが、彼らの言うことを書きつけておこう。

職をして給与を得ているようでは一生労働者のまま! 無産階級がどうの!

とりあえず殺しておいたので問題ない。未来においても殺しておいたから安心して欲しい。とにかく職がなくなり――それはそれほど問題ではないが――賃金がなくなるのは問題になる。


さて、AIで置き換えられない仕事の筆頭は土木作業員で、それに連なる資格として第二種電気工事士がある。今回、2024年度の上半期の試験に合格したので、そのメモを共有しておく。

重要なこと

まず二つ名についてだ。残念ならが二つ名はつかなかった。しかし、これはまだ初級の資格だからだと思われる。

第一種電気工事士、第一種電気主任技術者になれば、おそらく二つ名が与えられるだろう。年間、千人程度の国家第一種電気主任技術士が誕生している。二つ名もしかるべくして割り当てられる。息子には亡くなった父の二つ名が引き継がれる。当然のことだが、いちおう述べておいた。

概観

第二種電気工事士の資格を取ると、おおむね次のことができるようになる。

例えば、コンセントの工事や配線である。AIにはんだ付けはできない。AIは電気のスイッチを大きいものに付け替えられない。AIは山梨の実家の納屋まで来たりしないし、母屋から外に抜けてガレージへの電気を曳いてきたりしない。これらは特定の資格が必要になる作業だ。

この資格は、おおむね次のようなワークフローで取ることができる

  1. 試験に申し込みをする
  2. 学科試験(要するに『ペーパーテスト』のこと)を受ける
  3. 実技試験を受ける
  4. 免許申請を都道府県に申請する

となる。以下、1, 2, 3 について述べる。

試験申し込みについて

公式サイトにアクセスすると、試験案内と試験日程を見ることができるが、実際の登録は moshikomi-shiken.jpから行う必要がある。

この登録には、

が必要になった。実技試験のときに顔写真の照合がなされたので、できるだけ人相が変わっていない時の写真を用意するのをお勧めする。

学科試験について

第二種電気工事士試験完全攻略2024年版を買って、2、3週くらい読んだ。それ以外の対策は特にしていない。おおむね2カ月くらいでゆっくり勉強をした。

試験問題は、大雑把に言って、

と分類される。これらから、50問が出題され、30問を正答できれば合格となる。

感想としては、とにかくとっとと過去問を見ることをお勧めする。試験の出題傾向はゆっくりとしか変化しないため(さもなければ資格の正当性が問われることになる)、過去問を見ておけば、ある程度の出題傾向をつかめるし、何を勉強中に知っておくべきかがわかる。

また、テストを合格したいだけなら、計算問題を集中的に勉強するのがよいと思う。というのも、計算問題は、いくつかの計算手法を覚えておけば、原理的にはほとんどの問題に対応できる一方で、知識問題は「知るかよ」という問題が出てくるからだ。

私はCBT(テストセンターに出向いてディスプレイで解く)形式を選んだ。おおむねよい体験だったが、団体受験特有の盛り上がりを体感したい方には向いていない。また、図面の細部を見るために、画面の+ボタンを押したり、ドラッグしてみる場所を動かす必要があり、ここは単にマイナス要素だった。とはいえ、自由に時間を指定できること、謎の待機時間が発生しないことを考えれば、CBTを選ぶ方がよかろう。

実技試験について

ホーザンの工具セットホーザンの材料セットを買って、ホーザンのYouTubeを見て勉強した。学科試験のあたりに購入し、おおよそ3か月程度で14題材をこなした。

ホーザンの工具については特にコメントができない(比較対象は実家の工具であり、これは正直なところ、ぎりぎり工具というレベルの代物だった)。少なくとも、実技試験において何か不都合が生じたことはなかったし、今も特に壊れたりすることなく使えている。

ホーザンの動画がどういう感じかというと、

こういう感じである。ぜひコメント欄を見ていただきたい。

さて、実技試験であるが、会場の机がかなり狭いことに注意しておくべきだ。配布された下敷きの上で工作をするように言われるので、これは特定の会場に特有の現象ではなく、汎-会場的に成立することだと思われる。

基本的には、事前に知らされている14題のどれかが出題されるので、一通りやっておけば困ることはない。一度の練習でも十分に理解することができる程度の工作なので、作業の時間にだけ気を配っておけばよい。

最後に

試験や資格を取得するたびにわかることは、対象の試験が思ったよりも複雑で難解な制度と規制の上に成立しているということだ。電気工事士二種も、実行できる工作の種類が決まっているし、それらの工作も細かく法律が決まっている。

したがって、免状を発行されるということは単に作業を行ってよいということではなく、適法な工作をせよということだ。法律と規制は細かく、はっきり言って覚えていられないが、作業にあたっては、法に則った施工を行うように心がけたい。極めて殊勝な意見である。