間違えた若さについていくつか
日記
織姫と彦星。私達はおそらく夢を見すぎている。たった一組の恋人たちに、何をか望まん。ゆっくり寝てしまえばすぎる夜だ。数十年前の七月六日、甲府の空にはB29が飛び交い、油の火が人の皮膚を焦がした。たった少しの水だに、彼ら天上の恋人たちは、差し出すことができなかったということだよ。
個人的な倫理にまかせて言えば、死に瀕している者へ、そのような仕打ちをした恋人たちに、私のいかなる願いも、成就してもらいたくはない。織姫、あなたの手はとてもよくない。
おそらく私は中程度に性格が悪く、そしてこれからもそうだ。あなたは私を非難できる。
ところで、私の過去の悪行に対して、私はどのようなみそぎを行えるだろうか? そもそも、そのようなみそぎが許されるのだろうか? とにかく、わたしの手はとてもよくない。私は最近、このようなことをよく考えている。私は加害者の立場でものを考える。この立場においては、誰かを恨むことをしなくてよい。