走らされすぎたメロス
日記
これはおそらく日記ではない。
私は八角が好きではない。スターアニスとおしゃれっぽく呼ばれているのもかんに触る。スターときてアニスと来ると、私の頭には肛門だとしか思えない。スターでアヌスだぞ?
子供の頃、豚肉の煮物の中に八角がよく入っていた。 我が家の煮込み料理は基本的に煮込みすぎで、しょうが、にんにく、八角などの小さな内容物は全て煮砕かれ、『名付け以前』とでも言うべき原初状態を取り戻していたため、私があのフレーバーと八角を結びつけるのもずいぶん遅れてからだった。 したがって、八角が嫌いだと私が自覚したときには、私は既に好き嫌いを言っていられるような年齢ではなくなっていた。それゆえ、私は嫌いなものをそれと知りながらずっと食べ続けることになった。 これが私の精神的発育にもたらした影響は計り知れない。
これは私の好き嫌いの話だった。この話をしていたら、私が八角を八角だと認めた頃の記憶がよみがえってきた。それは中学何年生かの時で、暇つぶしに読んでいた国語の教科書には、確かこんな話があった……。
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アニスである。